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バイト記①

現金欲しさに、派遣のアルバイトを始めた。長所:ブレない、短所:頑固、な大学4年生はテレビ屋さんになりたくて就職活動を10ヶ月くらい続けている。つまり「面接あるかもしれないからシフト入れません(>_<;)」みたいなノリを延々とのたまっている訳で、当然のことながら所持金が底をつき、というかマイナスになった。というのがこれからお話をする派遣バイトを、始めた背景である。

悲しいことに、そのバイトに行く交通費がないレベルの経済危機を迎えているくせに北海道旅行を9月末に敢行したため、10月はクレジットカード引き落としの日を万全の体制で迎えるために努力しなければならなくなった。

という訳で、朝7時から夜21時まで六本木の秋空の下で施工を見守ったり、駅前でパチンコ屋の看板持ったり、麻布十番のクラブでクローク係をしたりした。新たな経験を積み私も1UPしたと言っていいのではないだろうか。

今回はそのバイトのうちの一つの話だ。この日の仕事は「イベントスペース立会い業務」。
全然仕事内容が伝わってこない13文字が他にあるだろうか。でも読んで字のごとくというかリテラリーというか、業務はこれ以上でもこれ以下でもない。ただひたすらに「イベントスペースで立ち会っている状況」を続けておけば良い。数日後に行われるイベントの施工が安全に行われているかどうか見守るのが、今回の私の任務であった。それを立会い業務というらしい。実際はその辺をスーツでウロウロしてればいいだけである。

7時に現場へ集合し、その事実をはっきりと認識したのが7時半ごろ。この仕事は7時から21時の日給14'000円だ。晴れた秋空の下、今から13時間半この辺りをウロウロするという今日一日のスケジュールが確定した。ウロウロしつつ、たまに施工の過程をちいちゃいデジカメに収めるだけ。私の中の小宮浩信が「バカな!」と叫んだのは言うまでもない。

私にその説明をしてくれたおじさんは、「じゃあ僕はあっちで別の仕事をしてるので、何かあったら電話してね!あとは加藤さんと交代で休憩とって!じゃ!」と去ってしまった。「あ。。加藤さんもバイトなんだ。。。。」と思ったのは、そりゃあ加藤さんは3頭身とも見て取れるメタボスタイルで、天然パーマを禿げ散らかした、齢五十路ほどの立派な中年オヤジだったから。聞いた話ではこの立会い業務、「なんかそれっぽい」という理由で30〜50歳くらいのオジサンが多いらしい。そりゃスーツ着て施工を見守り、危険な感じがしたら注意するって、女子大生がやる仕事ではないですよね。。。。

そんなこんなで登園する幼稚園児を見かけたり、お母さんや友達と楽しく帰路につく幼稚園児を見かけたりなどする、ひどくつまらなくて長い1日が始まった。

このバイトの一番の敵は気候。寒い。言っても10月。秋空に朝から晩まで放り出されたら寒くて寒くて凍えちゃって鼻水パラダイス。日陰になるのが辛過ぎて、雲の動きを何度確認しただろうか。このバイトは1時間交代で休憩が回ってくるドリームバイトでもあるのだが、その時のセブンのホットコーヒーには感謝しても仕切れない。金のためにバイトしているのだからコーヒーなんて買いたくなかったが、やむを得なかった。

在って無いようなこのバイトがなぜ存在するのか考えたりしながら長い時間が過ぎ、21時を迎え、ガタガタ震えながら再びコーヒーで体を温めつつ帰路についた。しかしここで泣きっ面に蜂、電車から流れる「急停止します」というアナウンス。「人身事故のため急停止いたしました。運転再開は1時間後を予定しています。」という死刑宣告。私なんか悪いことしたかな神様。見事に1時間、動かぬ満員電車で立ちっぱなし。
こっちは秋空耐久14時間チャレンジを終えたばかりでパンプスを履いた足もパンパン、寒さで鼻水が止まらないってんだからぁ早く帰らせろ〜〜〜〜!!!!とブチギレていたら、私の目の前に座りゲームをしていた、スーパーマラドーナの田中さん似のサラリーマンがティッシュをめっちゃくれた。

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スーパーマラドーナ 田中


優しい!!!!!!有難う!!!!!!!!

よく電車で鼻水の滝と化してしまう私であるが、それを見兼ねた心優しい人にティッシュをいただくのはこれで2回目。いや、優しいというかすする音が汚くてうるさいだけですよね、鼻弱いんだからちゃんと常備します。すみません。申し訳ないです。有難うございます。反省。